「現実を受け入れろ」

 余裕をかましながら俺と蒼ちゃんの肩を『ポンポン』と叩く拓海も、おそらくノーチェリー。

 『お前はどうなんだ?』と探りの視線を蒼ちゃんに送ると、蒼ちゃんも何か言いた気な目をしながら俺を見ていた。が、答えを知って傷つきたくないばかりに、お互いに聞きたいが聞けない。

 蒼ちゃんは俺と違って、全然モテないわけではないし、普通じゃないし、ダイナミックにチェリーをかなぐり捨てていてもおかしくない。

 俺だけなのか? オンリーチェリーなのか? ロンリーチェリーなのか⁉ そもそもなんで童貞が『チェリー』なんだよ‼ と頭を掻き毟っていると、

 「イヤイヤイヤ、がっくんまだ中2でしょ。焦る事ないって」

 花さんに『どんまい』とばかりに頭を撫でられた。