「どうしてそのことを今まで黙っていたんですか⁉」

 ちょっとキレ気味の担当編集さん。

「聞かれなかったので……。交友関係まで話さなきゃいけませんか?」

 編集さんの圧に、椅子を少し後ろに引いて後ずさる。

「話して欲しかったですよ。あの脚本が本当に蒼汰さんの作品だったなら、最後に彼の作品をウチの出版社から出して形にしてあげることも出来たでしょう? ……疑うわけではないのですが、本当に本物なんですよね?」

「本当に本物です。でも、証拠は? と聞かれたらありません。だから、我々の営利目的には出来ないし、したくありませんでした。彼は、岳海蒼丸の作品として世に出したがっていましたから。岳海蒼丸の皆さんがあの脚本を読んでみて【偽物だ】と感じたなら、それは仕方がありません。信じるか信じないかは、彼ら次第だと思っています」

 岳海蒼丸のメンバーだったら必ず分かる。あれが、蒼ちゃんの脚本であることは、絶対に。

 証拠もないのに自信満々に、脚本に関しては嘘も吐いていない為、何の悪びれもなく返事をすると、