蒼ちゃんが、『サバちゃん、どうした? 顔色良くないよ? 具合悪い?』と私を心配しながらも、私の視線の先の文章に目をやり、

「……あらー」

 苦笑いを浮かべた。

 メールには、『当社から小説家が誕生しました‼ 現在発売中の【蒼い青】と言う本は、我が社の夏川千里さんの作品です‼ 積極的に読み、社員一丸となって夏川さんを応援しましょう‼』と書かれていた。

「……唐沢だ。唐沢しかいない」

 腹が立って、悲しくて、悔しくて、マウスを握る手に力が入る。マウスを破壊してしまいそうなほどの握力だ。

 奥歯を噛みしめ怒りに耐えると、今度は目頭が熱くなってきた。

 あんなに約束したのに。あんまりだ。酷過ぎる。

 唐沢の裏切りに、怒りと悲しみの涙が込み上げた。