「電子も紙も、書いてあることなんて全く一緒なのに‼ 愛されてるねー、サバちゃん‼」

 蒼ちゃん、大興奮。

「2冊も買ってくれるなんて……」

 恐縮しながらペコっと頭を下げると、

「今、ちょうどウチに鍋敷きなくってさ」

 唐沢から、思いも寄らぬ紙書籍の使い道を聞かされた。

「……お買い上げ、ありがとうございまーす」

 全ッ然愛されてねぇし‼

 白けた微笑みを浮かべた表情のまま、蒼ちゃんの方を向くと、

「照れ隠しに決まってるじゃーん」

 蒼ちゃんが『恋愛ってやっぱいいね‼ 最高‼』とジタバタした。

 今まで蒼ちゃんのことを天才だと思っていた。というか、今でもそう思っている。

 でも、蒼ちゃんは唐沢と私のこととなると、脳みそに何かが湧いてしまうらしい。