「イヤイヤイヤイヤ。視線イッちゃってるじゃん。まじでやめな。危ない人だと思われるから」

 蒼ちゃんの姿が見えない唐沢の目には、やはり私の行動は気持ち悪く映るらしい。

「もう‼」

 説明のつかない、説明したところで信じてはもらえないだろう、蒼ちゃんの存在と行動に、大きな鼻息が漏れた。

「ヤバイだろ、その情緒。どうしたの、夏川さん」

 唐沢、ドン引き。唐沢には、私が情緒不安定に見えるらしい。

「変なテンションじゃないと、言えないまま言う機会を失って、後々グチグチ言われるの嫌なので、このまま言ってしまおうと思うんですけど……」

 もう、このまま本の話をしてしまうことにした。

「再来月の15日、『蒼い青』ってタイトルの本が、『佐波野ミソノ』って名前で出ます。約束通り教えたので、約束通り秘密にしてくださいね」

 しつこいくらいに【秘密】を念押し。