「お疲れ様でーす」

 そうこうしていると、事務所のドアが開き、唐沢が入ってきた。

「きたきたー‼ 今日は何かしら展開があるはず‼ 今日こそ付き合ってー‼ いい大人がチンタラしすぎー‼ 俺、産まれられないやーん‼ 押し倒せー、お父さーん‼」

 唐沢に自分の声が聞こえないことをいいことに、言いたい放題な蒼ちゃん。

 そんな蒼ちゃんを睨みつけていると、

「夏川さん、どこ見ながら何を睨んでるの? 怖いんですけど。キモいんですけど」

 唐沢は唐沢で、私に冷ややかな視線を浴びせていた。

「どこも見てないし、睨んでもないです」

 と返事をしながらも尚、蒼ちゃんに『このやろう』と眼力をぶつけ続けると、蒼ちゃんが舌を出しながらヘラヘラと笑った。