「え⁉ 何で?」

 困惑する私に、

「何でって言われても……」

 タケくんは尚更困惑。というか、迷惑しただろう。

「何してるの、夏川さん。新幹線の時間でしょ」

 そこに、私たちの困惑の原因・唐沢が、私のバッグを片手にやって来た。

「『何してるの?』は唐沢さんですよ。何でお会計しちゃったんですか?」

「だって、今日は夏川さんのお祝いじゃん」

『当然でしょ』と言わんばかりの唐沢。

「イヤイヤイヤイヤ……」

『何を言ってんだ? この人』と飲み込めずにいる私の腕を掴んだ唐沢が、

「夏川さん、新幹線の時間‼ じゃあな、タケ。またな」

 私を引っ張りながら、お店から引きずり出した。