職場ではないからなのか、お店の雰囲気が良いからなのか、今日は唐沢と喋ることが苦ではない。むしろちょっと楽しい。

 そして、ビールも後から運ばれてきた料理も全部美味しい。

 どうせ自分で払うんだし、遠慮なんか必要ない。と言うことで、結局魚料理にも手を出し、挙句ドルチェを3種類頼んだり、やりたい放題に腹はち切れんばかりに食いに食いまくった。

 こっそり……というか、まぁバレていたと思うが、お酒も5杯飲んだ。

「あぁー。美味しかった。幸せやー。天国やー」

 と、食べ過ぎてポッコリ膨れてしまったお腹を摩りながら、チラっとスマホの画面に目をやる。

「唐沢さん、そろそろ出ましょう。新幹線の時間が……」

 ここは東京。新幹線の最終は、電車より早い。もう、そんなにのんびり出来ない時間になっていた。