ある日、蒼汰がいつも使っているスマホではなく、タブレットを指でなぞっているのに気付いた。

 なんでスマホじゃないんだろう? と蒼汰を横目で見ていると、俺の視線に気付いたのか、

 「何?」

 と、蒼汰が俺に話しかけてきた。

 「今日はスマホじゃないんだなーと思って」

 「あぁ、昨日他界した」

 手に持っていたタブレットを机の上に置き、天井に向かって両手を合わせ拝む蒼汰。

 「お前が触ってる時に壊れたんだったら、他界っていうよりお前が殺したんだろ」

 「故意じゃない。死んで欲しかったわけでもない。つか、むしろ生きていて欲しかったのに勝手にぶっ壊れたんだよ。まだ買って1年も経ってないのに」

 『人生が短すぎるだろうよ』と蒼汰が重ねていた両手を擦り合わせた。

 『おやおや、可哀想に』と蒼汰に同情しつつ、蒼汰の机の上のタブレットに視線を落とす。

 タブレットの画面には、文字がびっしり埋め込まれていた。