「唐沢さんが私を意識なんかするわけないじゃないですか。見た目でなんとなく気付いてたと思うんですけど、私は唐沢さんよりずっと年上なんです。おばさんです。だから、ありえないです。なので、この話はやめましょう。ビールが飲みたいんです、私は‼ お腹もスッカスカなんです‼」

 店に入ってからずっと続く、唐沢とどうのこうの話に、いい加減に嫌気が差し、無理矢理話を断ち切ると、『持ち場に戻れ』とばかりに白木さんに退室を促した。

「ゴメンゴメン。そうだよね。お腹空いてるよね。すぐ用意するのでもう少しお待ちを」

 白木さんが、ホールにいたタケくんに「唐沢のテーブルにビール出して。早くね」と声を掛けると、足早にキッチンに戻って行った。