会話が一段落したところで、

「席、こっちな」

 白木さんの誘導で、テーブル席に案内された。

 白木さんからメニューを手渡され、早速開く。

 どれもこれも美味しそうで、どうにもこうにも決まらない。

「……どうしよう。全部美味しそう。どれを食べればいいんだろう。おすすめはどれですか? 【全部おすすめだよ、ばーか】って感じですよね? 全部美味しいからメニューに載ってるわけですもんね。でもさすがに全部は食べれない。うーん」

 拳をつくり、それを顎に当てて盛大に悩む。

 ここは東京。滅多に来ない。頻繁にこの店に食べに来られるわけではない。選択を失敗したくない。

「あはは。【馬鹿】だなんて思うわけないじゃない。【全部美味しそう】なんて言われたら嬉しいに決まってるじゃん。そうだなー、肉と魚だったらどっちの気分?」

 白木さんの問い掛けに、

『肉‼』

 唐沢と私の声が綺麗にハモった。