僕等の、赤。

 唐沢に掴まれているのが手首で良かった。掌は手汗をかいてしまっているから。それくらい、変に体温が上がる。まぁ、唐沢と私が手を繋ぐのもおかしな話だけど。

 出版社があった大きい通りから、どんどん細い道に行き、ちょっとした裏道の様なところに入ったところで、

「着いた。ココ、俺の仲間がやってる店」

 唐沢が立ち止まった。

【SHIRAKI】という名の小洒落たイタリアンのお店だった。中に入ると、

「おー、唐沢さん‼ いらっしゃい。お連れの方もいらっしゃいませ。席、ご案内しますね」

 さっきスマホを落とした若者より更に若そうな男の子が、笑顔で迎えてくれた。

「唐沢さんのお友達って、結構年下の方なんですね」

 こんな若くして店を持ったのか、この子‼ と驚いていると、

「コイツは仲間が雇ってるバイトのタケ。白木は……キッチン?」

 唐沢が、タケくんの頭をくしゃくしゃと撫でながら、キッチンの方に目を向けた。