僕等の、赤。

「じゃあ、今日はお酒は3杯までね」

 唐沢が私の目の前に右手の指を3本突き立てた。

「何で⁉ どうしてそんな意地の悪いことを……。私の話、聞いてました⁉」

 憎しみを宿らせた目で唐沢を見上げる。

 イタリアンって言ってたから、イタリアンビールはもちろんのこと、ワインだって楽しみにしていたのに、何なんだよこの男。どこを好きになれば良いんだよ、蒼ちゃん‼ と、心の中で蒼ちゃんに話し掛けるも、いくら蒼ちゃんがこの世にいないからって、心で通信など出来るはずがなく、当然返事はない。

「酒飲み過ぎて身体壊してこの先飲めなくなるより、量を我慢して長い期間楽しめる方が良いでしょうが」

 唐沢は、単に私に嫌がらせをしたかったわけではなかった様だ。