「方向音痴のくせに、勝手に何してんの? 普通、俺に声掛けてから行くよね?」
唐沢が、ほかほかになった私の心が一気に冷凍される様な、冷めた視線を落としてきた。
「そんなことをしている暇に、スマホの持ち主を見失ってしまいそうだったので……すみませんでした」
謝りながら中腰だった上半身を起こすと、
「また探さなきゃとか、面倒なので」
唐沢が私の右手首を握った。そしてまたズンズン歩き出す唐沢。最早、連行状態。
そんな唐沢のスピードに、走ったせいで疲労困憊の私の足は追いつけずに縺れてしまう。
「……あの、もう少しゆっくり歩いて頂けませんか? ババアですみません」
自虐を交えてお伺いを立てる。私が何も言わずに単独行動を取ったせいで、ただでさえ良くないだろう唐沢の機嫌を更に損ねさせて、恐ろしい空気のまま2人でイタリアンは地獄過ぎる。
唐沢が、ほかほかになった私の心が一気に冷凍される様な、冷めた視線を落としてきた。
「そんなことをしている暇に、スマホの持ち主を見失ってしまいそうだったので……すみませんでした」
謝りながら中腰だった上半身を起こすと、
「また探さなきゃとか、面倒なので」
唐沢が私の右手首を握った。そしてまたズンズン歩き出す唐沢。最早、連行状態。
そんな唐沢のスピードに、走ったせいで疲労困憊の私の足は追いつけずに縺れてしまう。
「……あの、もう少しゆっくり歩いて頂けませんか? ババアですみません」
自虐を交えてお伺いを立てる。私が何も言わずに単独行動を取ったせいで、ただでさえ良くないだろう唐沢の機嫌を更に損ねさせて、恐ろしい空気のまま2人でイタリアンは地獄過ぎる。
