僕等の、赤。

「あ、お連れの方ですか? すみません。俺の不注意でスマホを落としてしまいまして、彼女が走って届けてくださったんです。だいぶ走らせてしまったみたいで……申し訳ありません。今、水を買ってきますので、少しお待ちいただけますか?」

 未だに息が整わない私の代わりに唐沢に説明をしてくれる若者。本当にいい人だ。最近の若者、捨てたモンじゃないわ。『日本はキミらに任せたよ』とその若者を見つめていると、

「俺が買ってやるので結構ですよ。お気遣いありがとうございます」

 唐沢が視界を遮るように私の目の前に立った。

「すみません。じゃあ、行きますね。ありがとうございました」

 若者が唐沢の脇から顔を出し、私にペコっと頭を下げると、爽やかな笑顔を見せて立ち去って行った。

 頑張って走って良かったなと、ほんわかしていると、