僕等の、赤。

 K出版のビル付近を『やっぱ東京は凄いわ。空は暗いのに街は明るいわ。【街】だって。ウチの地元には【町】しかないわ』などと脳内で自分にツッコミを入れながらウロウロしていると、

「田舎者丸出しで歩くなよ」

 背後から声がした。

「田舎者が田舎者らしくして何が悪いんですか? 都会がそんなに偉いんですか?」

 唇を尖らせながら、声がした方へ振り向く。

「助けてもらった分際で口答えするんだ」

 今日も絶好調に口の悪い唐沢が、腕組みをしながら立っていた。

「奢ったらチャラです」

 そんな唐沢に言い返してみるが、

「まだ奢ってもらってません」

 唐沢よりは性格の良い(ハズ)の私は、やっぱり敵わない。

 こんな時、蒼ちゃんがいてくれたらと思う。