僕等の、赤。

『楽しんできな』とは言われたものの、初めて出席するその場所で寛げるはずもなく、終始緊張したまま授賞式は終わった。

 が、それでお開きとはならず、受賞作の出版に向け、担当をしてくれる編集さんと打ち合わせをすことに。

 編集さんからスケジュールなどの説明を聞きながら、『へぇー。こうやって本は出来ていくのか』と、今まで知らなかった出版業界の中身を少し見せてもらえた気がして、胸が高鳴った。

 新しい世界に足を踏み入れられた様な感覚が、何だかとても嬉しくてワクワクした。

 編集部を案内してもらったり、色んな方に挨拶をさせてもらったりしていたら、出版社を出る頃には辺りはすっかり暗くなってしまっていた。