僕等の、赤。

 ---------そうこうしていると、授賞式の日がやって来た。

 有休を取り、新幹線に乗り込むと、いざ東京へ。電車に乗り換え、出版社の最寄駅で下車。ここまでは至って
順調。……が、

「……この道でいいんだよねぇ……」

 スマホを見ながら固まる。

 東京は田舎と違って、同じような細い道と同じ様なビルが立ち並び、少し歩いただけで田舎者の私は、自分どこにいるのか分からなくなってしまった。

 ヤバイ。授賞式に遅れる。どうしよう。誰かに道を聞こう。でも、みんな忙しそうに足早に歩いている。そんな人の足を止めて迷惑にならないだろうか。……タクシーを拾おう。でも、ナビを見る限り、出版社は近い。1メーターしか乗らないなんて、失礼にならないだろうか。焦りで混乱し、どうすれば良いのか分からなくなり、咄嗟に会社携帯をバッグから取り出してアドレス帳を開くと、それを見ながら自分のスマホのボタンを押した。