僕等の、赤。

「スマホのナビ使いながら行くから大丈夫。でもソワソワするよー。都に出て行くのなんて、下手したら10年ぶりくらいだもん。怖いなー。東京怖い。私みたいな田舎者がキョロキョロしながらチンタラ歩いてたら、『退け、ババア‼』ってどつかれたりするのかな。都会の人の邪魔にならないように端っこ歩いとこ」

 胸に手を当て、摩りながら自分で自分を慰める。

「『都』て。てか、サバちゃんの東京のイメージどうなってんのよ。ウケるわー。東京は人がいっぱいだから、そりゃおかしな人も田舎よりは多いけど、その分優しい人だっているからね。……って、東京代表みたいに言ってる俺も、上京組の田舎者だけどね。あー、なんか心配。一緒に行けたらいいのに」

 この事務所の外に出られない蒼ちゃんが、もどかしそうに顔を顰めた。