僕等の、赤。

「弟がいたら、こんな感じなのかな。……弟でいいよね? 親子ほど離れてないよね?」

【恋ではない】と信じたい自分の心の正常化を図る為、姉弟愛だと思い込むことにした。

「イヤ、子として見てほしいわ。後々そうなるんだし」

 よく分からない感情に心をザワつかせている私とは違い、蒼ちゃんはいつものテンションで、未だに私の子どもになる気満々だった。

 イヤ、分かってましたけど‼ 私が蒼ちゃんの恋愛対象にならないことなんて、普通に分かってましたけども‼

 恥ずかしさと虚しさで、心の中でジタバタした。

「あ、そうだ。来週だよね、授賞式。会場って出版社? 道、大丈夫?」

 そんな私を余所に、蒼ちゃんが話題を変えた。