僕等の、赤。

「……なんで。まだ勤務整理の時期じゃないのに」

 事務所に入ってきた人物を見て、右頬が痙攣を起こしたかの様に引き攣った。

 サブイボが出るほど嫌いな、唐沢だった。

「所長、15日付けで異動ですよね? 挨拶しようと思って顔出したんだけど、外出中?」

『所長のスケジューラー見せて』と唐沢が私のデスクにやって来た。

 そして、勝手に私のパソコンに触り、

「いい歳して、岳海蒼丸のSNS見てんなよ、キモ。仕事してくださいね、ベテランさん」

 画面右上の×をクリックする唐沢。

「うわー、消された。つか、まじで口悪ッ‼ そりゃ、サバちゃんも好きになれんわな。しっかりしてよ、お父さーん」

 蒼ちゃん曰く、【未来のお父さん】の態度を見て、蒼ちゃんが残念そうな顔をした。