僕等の、赤。

「……俺が死ななかったら、こんなことにならなかったんだよな。マルオに嫌な思いをさせることもなかったのに……。事務所を憎むのも筋違いだよね」

 蒼ちゃんが、今度は自分を責め始めた。

 蒼ちゃんを励まそうと見せた、マルオくんへの励ましコメントが、逆効果になってしまった。

「だから、蒼ちゃんのせいじゃない。【蒼ちゃんが死ななかったら】じゃなくて、【酒を飲んで運転するクソドライバーがいなかったら】だよ‼ 蒼ちゃんまでコメント欄の人間と同じ部類に入らないでよ‼ 攻撃する対象を間違わないで。諸悪の根源はクソドライバーでしょうが‼」

 と、偉そうに蒼ちゃんを叱っていると、

「お疲れ様でーす」

 聞きなれた声と共に、事務所のドアが開いた。