僕等の、赤。

 トイレに入り、鍵を掛け、便器に腰を掛けて用を足しながら一息つくと、やっぱり信じられない思いが頭の中を廻る。

 これは本当全部現実なのか? 疲れすぎてて幻覚を見てるんじゃないのか? だとしたら、出版社からの電話も幻なんじゃないの? 賞が欲しすぎて、想像妊娠バリの想像受賞してしまったんじゃ……痛い。それは痛すぎる。

 トイレから出たら、蒼ちゃんはいないんじゃ……。

 トイレを流し、手を洗って事務所に戻ると、

 「サバちゃーん、岳海蒼丸のHP見せてくれない? 拓海がドラマに出るのは分かったんだけどさ、がっくんとマルオがどんな感じなのか知りたい」

 蒼ちゃんが私のデスクで頬杖をつきながら、私を待っていた。