僕等の、赤。

 「だから、さっさと行けっつーの。行くまでが長いわ」

 呆れながら笑う蒼ちゃんの後ろを通り過ぎようとして……、

 「とぅっ‼」

 蒼ちゃんにタックルするように体当たりしてみた。今までの不思議現象がマジックだったとしたら、不意にこっちから仕掛ければ、対応出来ないはず。この赤髪男子が本当に蒼ちゃんで、幽霊だったとしたら、ぶつからずに通り抜けてトイレに行けるはずだ。

 人間、36年も生きてしまうと頭でっかちになってしまう。

 根拠のない幽霊というものを、信じる根拠が欲しくなる。

 人にぶつかる気で体当たりしに行った私の身体は、何にも接触することなく、勢い余って壁に激突した。

 「うわぁ‼ 痛い‼ 痛ーい‼ 漏ーれーるー‼」

 身体への衝撃は、膀胱にモロにダメージを与え、失禁寸前。