僕等の、赤。

 「……てことは、自分の家族とか岳海蒼丸のみんながどうしてるかとか、知らないってことだよね?」

 徐々に把握していく蒼ちゃんの置かれている状況に、胸がきゅうっとなった。

 「まぁ、神様に聞けば教えてもらえるんだけど、あの方は忙しいからね。幽霊は俺以外に五万といますからね。……って佐波野さん、俺が蒼汰だってちょっとずつ信じてきてますよね?」

 蒼ちゃんに指摘されてハッとした。人は、疑う行為を保留すると、転じて信じてしまうらしい。目の前の赤髪男子を【仮】ではなく本物の【蒼ちゃん】として認識してしまっている。

 36にもなって、幽霊などというファンタジーを容認してしまっている自分に驚愕し、

 「……チビリそう。トイレ行くわ」

 膀胱がユルユルだ。