「も、もしもし」
蒼ちゃんの勢いに乗せられて電話に出ると、
『K出版の門脇と申します。夏川さまの携帯電話でしょうか?』
「……はい」
『この度、佐波野ミソノ様名義でご応募頂きました作品が大賞を受賞されましたのでご報告です。つきましては来月の受賞式にお越しいただけます様、お願いしたく……』
スマホから聞こえる話に耳を疑い、即座にパソコンでスマホに表示されている番号を検索する。
間違いなく、K出版だった。
嬉しさよりも、信じられない驚きで上の空になってしまい、出版社からの話が全く頭に入ってこないまま、電話は終了した。
茫然としながらゆっくりと蒼ちゃんの方へと顔を向けると、
「ね、言ったでしょ」
蒼ちゃんが『おめでとう』と言いながらニッコリ笑った。
