蒼ちゃんの四十九法要の日、青白い顔をしてうつろな目をしながら蒼ちゃんの遺影を見つめていたマルオに、拓海が『蒼ちゃんの為に前を向いて頑張ろう』と鼓舞すると、マルオは『前ってどっち? どの方向が前なの? 俺はずっと蒼ちゃんの背中を追って進んでた。俺の前にはいつも蒼ちゃんがいた。俺にとっての『前』は蒼ちゃんだった。俺は、どこに向かって行けばいいの?』と身動きが取れない苦しい心の内を話した。

 答えに窮した拓海は『一緒に探す。急かしてゴメン。ゆっくり行こう』と、マルオに岳海蒼丸の活動再開を促すのを辞めた。

 拓海と俺は蒼ちゃんが大好きで、マルオはそれに加えて、蒼ちゃんを慕っていた。

 『こんな楽しい生活が出来ているのは、蒼ちゃんが俺を岳海蒼丸に入れてくれたおかげ』と言い、事務所に入る際に、蒼ちゃんも拓海も俺も本名で登録したのに、『俺は蒼ちゃんが付けてくれたマルオって名前が好きだし、マルオって呼ばれるようになってから、楽しい事ばっかりだから』と、マルオだけ芸名で活動していた。

 それほど、マルオにとって蒼ちゃんの存在は大きかった。