「……あ、涙出た。ヤバイ、止まらん。やっぱ悲しいんだ、俺。蒼ちゃんがいなくなった事、辛いんだ。どうしよう、がっくん。苦しい。あの日、俺が買い物を面倒くさがらないで行ってたら……じゃんけんしてたら、あの時間に蒼ちゃんがあの場所にいることもなくて、蒼ちゃんが死ぬこともなくて……生きてたはずで……蒼ちゃん、まだ途中だったのに。夢、全部叶えてなかったのに。大学だってまだ卒業出来てなかったのに」

 拓海の目から次から次へと涙が零れだす。

 「拓海まで自分を責めるなよ。拓海は何一つ悪くないだろ!!」

 拓海の肩を摩っていると、遠くで灰色の煙が立っているのが見えた。

 「……あれ、蒼ちゃんかな」

 「……蒼ちゃんだろうね」

 拓海と一緒に空へ上って行く煙を見つめる。

 「……普通に灰色なんだな」

 ボソっと零すと、

 「……え?」

 拓海が泣きながら俺の顔を見た。

 「蒼ちゃん、普通じゃないから。天才だから。赤が好きだから。もしかしたら赤い煙出すんじゃないかと思ってさ」

 言いながら、俺の目からも涙が出た。やっと泣けた事に、少しホッとしながらも、辛くて苦しくて、息もし辛い。

 「……そんなわけないだろ」

 拓海と一緒に声を上げながら泣いた。