「俺らが泣けないみたいに、人によって悲しみ方だって違うんじゃないの? 悲しいからこんな時にそんな話をしたのかもよ。拓海こそ、こんな時にそんな話するなよ。ますます泣けなくなる。イラっとしただろうが」

 膝で拓海のケツを軽くど突くと、

 「俺じゃない。蒼ちゃんが言ってたの」

 『やめろ』と言いながら、拓海が右手で俺の脚を払った。

 「……は?」

 「半年くらい前に、蒼ちゃんが好きだったバンドのボーカルが死んじゃったじゃん。その時、そのバンドのコメント欄を見ながら言ってたんだよ。『死んだらコメント欄がこんな事になっちゃうんだな。おちおち死んでらんないな』って。……なのに、何をおちおち死んでるんだよ、蒼ちゃん」

 その時、拓海の目から一粒地面に落ちた。