実家に着くと、礼服を脱ぎ、そのまま風呂へ。

 頭と身体を洗い、湯船に入ってボーっとする。

 何も考えられないとか、何も考えたくないとかではなく、信じたくない現状に取り残され、置いてきぼりにされた様で、途方に暮れてボーっとする。

 蒼ちゃんが明日、灰になる。骨になる。……何それ。有り得ない。有り得ない事が明日起こるのかと思うと、怖くて仕方がない。

 俺は明日、絶望に打ちひしがれてしまうのだろうか。

 それなのに、風呂から上がり、部屋に戻って久々に中学・高校時代の写真を見ると、楽しかった記憶が次々と蘇り、笑ってしまった。

 蒼ちゃんが死んだというのに、泣きもせずに笑う俺は、どこかおかしいのかもしれない。