「黒田さんからだ」

 スマホのディスプレイに表示されたマネージャーの名前を確認し、スマホを耳に当てる。

 「……え。本当ですか⁉」

 マネージャーの言葉に目を見開く。驚きすぎてマネージャーの話があんまり頭に入って来ない。放心状態のまま電話を切ると、

 「がっくん、どうした? 何かあった?」

 ボーっとしたままの俺の腕を、マルオが心配そうに揺すった。

 「……決まったって。ディラン」

 「……は?」

 俺の謎の言葉に、マルオがさっきとは違う意味で俺を心配そうに見た。
 
 「……『ゴシップハウス』っていう海外ドラマのディラン役の吹き替え、俺に決まったって」

 マネージャーからの電話は、以前にマネージャーに『いい声してるし、舞台経験もあって演技だってそこそこ出来るんだから、声優のオーディションも受けてみない?』と勧められて何となく受けたオーディションの合格の知らせだった。