「卒業おめでとーう‼ 蒼ちゃん以外。かんぱーい‼」

 リビングに4人が集まり、音頭を取る拓海の右手に持たれた酒入りのグラスに、

 『かんぱーい‼』

 蒼ちゃんとマルオと俺が勢いよく、各々のグラスをぶつけた。

 グビグビと喉を鳴らせて美味しそうに飲酒する蒼ちゃんに、

 「イヤイヤイヤ、キミ。卒業出来てないやん」

 左手の甲で蒼ちゃんの胸を軽く叩き、ベタにツッコむ。

 「だから、3人のお祝いだよ。俺の卒業祝いは9月に改めてやってね」

 『いいじゃんいいじゃん』とグイグイ飲み続ける蒼ちゃん。

 「『拓海の事は、8年掛かっても卒業させますから』って俺の親に宣言してたくせに、俺が4年で卒業で、自分は留年て」

 拓海が蒼ちゃんを指差してケタケタ笑った。拓海は酒好きではあるが、あまり強くない。すぐに顔が赤くなり、いつも1番初めに酔っぱらう。