「叫ぶな、がっくん。ウチの親が近所の人に怒られるだろうが‼ 取りあえず、受験は頑張るとして、今後の岳海蒼丸について語ろうぜ」

 蒼ちゃんがのたうち回る俺に、さっき俺に投げられた枕を押しつけた。

 蒼ちゃんが変えた話題に、みんなの瞳が輝く。

 大学はもちろん大事。でも、俺らにとっては岳海蒼丸の方がもっと大事だった。

 「映像作品もいいけど、舞台もやりたいよね」

 「舞台だったら、マルオの道具作りの腕が光るしね」

 「台詞覚えるの、大変だけどね」

 「でも、4人だけの舞台とか、やってみたいかも」

 など、4人の口からは夢と希望が絶え間なく零れた。

 4人で枕を並べるのも楽しくて、修学旅行気分で寝るのを忘れて喋り、ふざけ、笑い続けた。

 そんな楽しい時間は光の如く高速で過ぎ去り、俺らは高3になった。

 受験生に、なってしまった。