「受験ウザイ。勉強だるーい」

 岳海蒼丸イチのバカである俺が、枕に顔を埋めて嘆く。

 「分かる。だから俺は推薦狙い」

 拓海が『よしよし』と俺の頭を撫でた。

 「さっすが特進」

 蒼ちゃんの奥から太鼓を持つマルオに、

 「イヤ、マルオだって理系で上位やん」

 拓海が褒め返すから、

 「どうせ俺は一般クラスの中の下だよ。どうするんだよ、大学‼」

 苛立ち余って、拓海の頭の下から枕を引き抜き、それをマルオに向かって投げるという奇行に出てしまった。

 「大丈夫だ、がっくん。俺に考えがある」

 蒼ちゃんがマルオを背中で護りながら、『落ち着きなさい』と俺を宥める。

 「考えって何」

 拓海が布団から出て、蒼ちゃんの話を聞こうと胡坐をかくから、マルオと俺も蒼ちゃんの近くに座り直した。