蒼ちゃんに『帰れ』と言われたのに、なかなかみんな泣き止めずにいると、
「…蒼ちゃん、『泊まりたいなー』って言ったら、迷惑?」
マルオが女子の様な上目使いで蒼ちゃんに伺いを立てた。
「泊まりたいなー」「これからの事、もう少し語り合いたいなー」
マルオに続き、拓海と俺も気色の悪い上目使いで蒼ちゃんに迫る。
「その目、やめろ。男にされると厳しいわ。着替えは俺のを貸すし、布団も用意出来るけど、敷くのは各自でやるならいいよ。流石に親に3人分の布団のセッティングをさせたくない」
蒼ちゃんが俺らの視線を手で振り払いながら避ける。
「そんなの当たり前じゃん」
『イエーイ』と拓海が両手を上げると、
「俺、スウェットで来たから着替えいらーん」
俺も一緒になって騒ぐ。
「さてさて、お布団はどちらに敷きましょうかね」
拓海と俺の様子を横目に、ニコニコしながらお泊りの準備を始めようとするマルオの頭頂部に、
「仲居さんか。俺の部屋以外に選択肢ないわ。どこで寝る気だよ」
蒼ちゃんがチョップしながらツッコんだ。