「よし‼ とりあえず、受験頑張ろうぜ‼ 大学受かって、事務所にも入って、岳海蒼丸の活動を本格化しよう‼ てことで、各々帰宅‼」

 蒼ちゃんが『泣き顔で帰ると家族が心配するだろうから、しっかり顔拭いてから帰りなさい』と俺らにボックスティッシュを差し出した。

 みんなで一斉にティッシュを取り出し、目を擦ったり鼻をかんだりしている時に拓海が、

 「みんなありがとうね」

 なんてポツリと零すから、何故だかみんなの涙腺が崩壊し、何の涙か分からないものが止めどなく出てきてしまって、ティッシュ1箱じゃ追いつかない。

 「8年猶予が貰えたんだ。しっかりチャンス、モノにしろよな」

 蒼ちゃんが拓海に肩パンを喰らわす。

 「当然じゃ」

 拓海が目を細めて笑った。