「マルオはネチネチっていうより、ちょっとだけクヨクヨしがちなだけだろ」

 蒼ちゃんが立ち止まり、クルっと振り返るとマルオを見た。拓海と俺の足も自然に止まり、

 「うんうん。俺もマルオをネチっこいと思った事ない」「俺も全くない」

 2人でマルオの言い分を否定すると、

 「泣きそうになるからやめてー。ありがとうねー。みんな優しいよねー」

 マルオは耳を赤くして下を向くと、顔を隠しながら両手を広げ、俺ら3人を纏めて後ろから押した。

 「何で泣こうとするん?」

 わけが分からず、マルオの顔を覗こうとする俺の頭に、

 「なんでこの流れで分からんかな。文脈で読み解けよ。本を読め」

 『いいから歩け』と蒼ちゃんがチョップを入れ、蒼ちゃんの隣では、

 「泣きたいのは俺だろうよー」

 拓海が思い通りに行かない現実を嘆いた。