「蒼ちゃんは優しいねぇ。俺たちの事をそんな風に考えてくれてたんだねぇ。誰も蒼ちゃんの事を意地汚いなんて思ってないよ。拓海だって、自分の気持ちを譲れないだけで、蒼ちゃんは自分を心配して言ってくれてるんだって、ちゃんと分かってると思うよ。拓海は頭の悪い人間じゃないもん。ねぇ、がっくん」

 マルオが俺に同意を求めながら、宥める様に蒼ちゃんの背中を摩った。

 「うん。確かに髪色奇抜にさせられたり、散々巻き込まれてる感はあるけど、でもそれは楽しいからみんな蒼ちゃんに乗っかってるわけで、嫌ならやらないしな。巻き込まれたくて自発的に岳海蒼丸にいるわけだし。
 それにさっきチラっと調べたらさ、Sプロって姉ちゃんの好きな俳優が所属してるんだ。姉ちゃんに話したらどんな顔するのか楽しみで楽しみで、早く家に帰りたい」

 『因みにこの人ね』とスマホにSプロ所属タレント一覧を映し出し、指を差しながら蒼ちゃんとマルオに見せると、

 「おぉー‼ ビッグネーム‼」

 マルオは拍手し、

 「まじか⁉」

 蒼ちゃんは目を見開いた。