「蒼ちゃんに俺の人生の責任を取れなんて言わんし。蒼ちゃんの言っている事は正しいと思うよ。でも、それは蒼ちゃんの価値観だろ。蒼ちゃん言ってたじゃん。『価値観を押し付けるな』って。保険のない人生が不幸だなんて、俺は思わない。後がないから頑張れる事だってあるんじゃないの?」

 だけど、拓海は蒼ちゃんの話に同意しなかった。

 「拓海に何を話しても『それは蒼ちゃんの価値観』って言われるだろうけど、やっぱ嫌なんだよ、俺は。拓海には成功して欲しい。てか、マルオもがっくんも上手く行って欲しい。でも、願えば、努力すれば必ずしも叶うものでもないだろ。もし、もしも良い結果が得られなかった時、3人が倒れてしまうのは絶対に嫌なんだよ。
 後がないから頑張れる事もあると思うよ。でも、後があったって頑張れるだろ? 拓海は」
 
 それでも蒼ちゃんは拓海に訴え続ける。