「別に欲張りでも我儘でもなくない? そんな事を言ったら蒼ちゃんなんかどうなるの? 俳優兼カメラマン兼…何だっけ?」

 申し訳なさそうにするマルオを、蒼ちゃんを引き合いに出して肯定しようとしてみたが、欲張りすぎる蒼ちゃんが結局何者になりたいのか分からなくなってしまった。
 
 「初っ端から全部違うやん、がっくん。俺がなるのは、監督兼脚本家兼演出家兼編集‼」

 蒼ちゃんは、『勝手に俺の将来を変えてくれるな』と俺に水平チョップを喰らわせると、

 「それは心配しなくても大丈夫だよ、マルオ。先方には、今までのスタンスを変えたくない旨は伝えようと思ってる。俺も大学進学するつもりだし。俺、監督兼脚本家兼演出家兼編集には絶対になるけど、成功するかどうか分かんないもんね。勉強して、何かしらの資格取って、『コケても生きて行かれるから‼』って親を安心させたいしね」

 マルオの肩にポンと手を乗せた。