「1人ずつ聞くわ。まず蒼ちゃんね。蒼ちゃんって、子犬を助けて死ぬ心優しい生徒会長の役だよね。赤髪パンチっておかしくね?」

 『怖いわ』と言いながら、拓海がまず蒼ちゃんの髪型を指摘。

 「いつも行ってる美容室じゃなくて、わざわざ理容室行ってきたからなー」

 『凄いだろ。ロールされた髪がキッチリ犇めき合ってるだろ。触ってもいいよ』と蒼ちゃんが俺たちに自分の頭を差し出した。

 マルオと俺は『凄い凄い』と蒼ちゃんの頭を撫で回したが、拓海は触りもせず、

 「次。がっくん。シャバに出てきた更生中の板前なの?」

 黄色の角刈り頭の俺の髪に目をやった。

 「俺も理容室に行ったんだよ。蒼ちゃんに会わなかったね。どこの店に行ったん?」

 『剃り込み、凄くね?』と蒼ちゃんに見せると『まじじゃん。やばー』と蒼ちゃんが笑った。が、やはり拓海は乗って来ず。