「別に俺の意見なんか聞かなくても、多数決でもう決まりやん。反対したところで意味ないやん」

 蒼ちゃんに握られた拳をするりと抜き取り、弁当を持ち上げ食事を再開。

 「大事な事案は4人の意見が一致しない限りやらない。4人全員が納得しないものはやらない。4人が同じ方向を見ていなきゃ意味がないから」

 俺は口いっぱいにご飯を詰め込んでいるのに、蒼ちゃんは手巻き寿司を手に取ろうともせずに俺の目を見た。

 拓海とマルオも食事の手を止めて、俺の方を向いている。

 なんか、嬉しかった。俺だけ岳海蒼丸に何も貢献出来ていないのに、それでも必要とされている気がして、嬉しかった。

 ペットボトルのお茶に手を伸ばし、口の中のものを流し込む。

 「次はどんな髪にしようかな」

 3人にニヤリと笑って見せると、蒼ちゃんとマルオはハイタッチをし、

 「次もやんのかよー」

 拓海は呆れながら笑った。