「それな、がっくん。そもそも何の為に世界と繋がるの? ボランティアの呼びかけとか、お勧めの共有とか、何かの発見とか、情報交換とか、そういう善意で繋がるのは有意義だと思うんだけどさ、取るに足らない話とか、悪意のコメントとかで共感を得てどうしたいの?
 例えばさ、芸能人の箸の持ち方がおかしかっただけで【育ちが悪い】とか【お里が知れる】とか叩かれてるの、よく見るじゃん。グロテスクなものとかさ、性的表現が過剰なヤツの放送への批判は当然だと思うんだけどさ。PTSDとか正しい知識がないと病気のリスクがあるわけだからさ。だけど、多少のマナー違反って別に見たところでこっちに被害はないじゃん。ちょっと不快になるかもだけど。
 『芸能人には影響力があるんだから、子どもが真似をする』とか変な正義感翳すヤツもいるけどさ、躾くらい自分でやれよって思わん? 芸能人より圧倒的に身近な親の方が影響力弱かったら、そっちの方が問題だろって思うわ。
 しかも、『じゃあ、子どもが真似するといけないので、殺人事件のドラマを作るのもダメなのか?』って言われたら、それは違うんでしょ、どうせ。何その匙加減。
 つか、たいした問題じゃない事にいちいちクレーム付ける人って、『私には寛容さが全くありません』って自ら公表している様なもんじゃん。お前、羞恥心をどこに置き忘れて来たんだよっていっつも思う。俺には無理だもん。恥ずかしくて絶対に出来ない。ダサいじゃん。ダサすぎるやん‼ 悪意とか、他愛もない事を呟かなきゃ気が済まない心境が理解出来ない」

 蒼ちゃんが『まじで意味分からん』と言いながら、それこそ海苔が意味の分からないくっ付き方をしている手巻き寿司を口に運んだ。