俺に『天才』と言われた事に気を良くしたのか、蒼ちゃんはあっという間に残りのシナリオを描き終えてきた。が、すぐには撮影に入れなかった。と言うのも、全員部活が忙しかったからだ。

 「へぇー。マルオって美術部なんだ。女の裸体モデルとか見ながら描いたりするの? いいなー。俺も入っちゃおうかな」

 蒼ちゃんが下心満載の質問をマルオに投げかける。

 「そんな事をしたらPTAがざわつくって。今、丸裸のりんごをいかに美味しそうに描けるか頑張ってるよ。がっくんは?」

 マルオが『次はがっくんの番です』とばかりに俺に話を振った。

 「俺はサッカー部」

 「なるほど。がっくんは女子にモテたいわけね。前髪長くもないのに調子に乗ってヘアバンド付けて3年に嫌われてみてよ。面白いから」

 俺の返事にまでいちいちボケる蒼ちゃん。