キミになりたい。

「進路希望調査早く出せよ」

「はーい」

瀬戸は机の中から角の折れた紙を1枚、裏を向けて机の上に出した。

進路希望調査なんて先週締め切りのはずなのに。

「瀬戸、どこの高校行くの?」

私が裏向けた紙を覗きみようとすると、瀬戸はもう一度紙を机にぐしゃっと入れる。

「さあね」

「えー」

まあ、検討はついていた。

私と同じ県トップの県立高校か、私立の男子校か。

チャイムがなって立ち上がる。

すると、瀬戸の机からさっきの紙がヒョロりと下に落ちる。

紙は表を向いていた。