キミになりたい。

昨日だけで、私が努力してること2つもバレて。

私が天才じゃないことを、悟ったのだろう。

胸がドクドク鳴り止まない。

「わかんない」

頑張れる。

頑張れるって何。

私は、頑張れてなんかない。

頑張るしか無かっただけ。

「ふーん」

瀬戸の返事は何考えてるのかちっともわかんなくて。

私の事を馬鹿にしているのか、そうじゃないのかすらわかんなくて。

時計は残り2分で10時半を指す。

「そうだ、瀬戸」

先生の視線がこちらに向いて、瀬戸がゆっくり顔を上げる。