キミになりたい。

付き合っているわけでもないのにいろんな女子と2人で遊んだりして、期待させておいて。

本当、悪いと思わないのかな。

瀬戸が筆記用具を出し始めたのを見て、私も授業に集中する。

国語の先生は担任だから、真面目に受けないと後で面倒くさい。

ちらっと隣を見ると、瀬戸は例の数学の参考書を開けていた。

ここまでマイペースだと尊敬する。

「お前さ、」

瀬戸は参考書に目を落としたまま言う。

「なんでそんなに頑張れる?」

頑張る。

胸がまた、ドクンとなって痛む。

瀬戸が、何に対してそう言ってるのか何となくわかった。