キミになりたい。

「これコイツの私服だってさ。笑うよな。ダサすぎ」

え?

予想してなかった言葉に私はついていけなかった。

「嘘でしょ、ののちゃん」

咲良は瀬戸の言葉を信じて、目を大きくして言う。

「ち、ちがうし!」

「いやいや、幾ら家の近くのコンビニって言っても、普通全身ジャージでは外に出ないだろ。女子中学生が」

私は瀬戸見つめた。

この人、私を馬鹿にする振りをして、庇ってくれているんだ。

秘密でマラソンの練習をしている、ってことに気づいて。

みんなにバレないように。

「ののちゃんの面白いところ知れたわー」

咲良は何も疑うことなくニコニコしている。

良かった。

瀬戸も意外に悪いやつじゃないのかな?

感謝の気持ちは明日伝えることにして、私は2人に手を振った。