キミになりたい。

「松田?」

嫌な予感しかしなくて、無視しようと思った。

でも、彼はもう一度私の名前を大声で呼んだ。

他の人に見られるのが嫌で、私は仕方なく振り返る。

やっぱり瀬戸だった。

瀬戸はびっくりしたような顔で私を見る。

笑われる。

そう思って今すぐ逃げ出したくなった。

だって私は全身ジャージで、全速力で必死に走ってたんだ。

カッコ悪すぎる。

「何?マラソン大会の練習??」

瀬戸は少し笑いながら言った。

多分冗談のつもりなのだろう。

恥ずかしすぎる。

顔を下にして、必死に言い訳を考えるけど出てこない。