16時10分。

私と河野は毎日この時間に、校門前で待ち合わせしている。

昇降口から河野が出てきて、私に手を振ってくる。

「お待たせ。今日こそは一緒に帰ろうな」

「うん!」

2人並んで歩き始める。

もう11月。

沢山の銀杏を踏まないように、下を向いて歩く。


「明日からマラソンの練習始まるんだってな」

「えー、嫌だなー」

「だよな」


マラソン大会は12月頭に行われる。

もう2週間もない。

「今年も1位なれるかな」

河野は去年も一昨年も1位。

流石サッカー部のキャプテン及びエース。

運動神経抜群だ。

「なれるよ、河野は」